モミジの紅葉が終わりに近づいてからも、長きにわたって美しい紅葉を見せてくれていたドウダンツツジですが、ここ数日で落葉が進み、雲場池の紅葉もおおむね終了といったところです。
紅葉の変化をお伝えしてまいりましたこのブログも今日で最終回とさせていただきます。
今年も四季折々、様々な表情を見せてくれました。観光で来られた方も大変多く、紅葉シーズンは例年通り大変な賑わいとなりました。
2014年 軽井沢 雲場池 季節の移り変わり
【2014年の紅葉を振り返って】
2014年10月26日 軽井沢 雲場池
池の西側に並ぶカエデの紅葉を基準にすると、今年は10月の下旬(21から31日)が一番の見ごろ時期となり、25、26日あたりが最盛期といった感じになりました。
例年であれば、10月25日ころから11月3日頃が一番の見ごろになることが多く、5日程度早くに見ごろをむかえた形になりました。
また、落葉が思いのほか早くに進み、カエデ類の紅葉はおおむね10月末で見ごろが終わってしまいました。
今年と似たような紅葉の変化をしたのは5年前の2009年で、この時も早くに紅葉が進み、あっという間に落葉してしまいました。
逆に、紅葉が遅かった年では11月10日を過ぎても十分きれいな状態を保っていることもありますので(例:2008年)、その年の気候によって大きな差が生じるようです。
2014年6月21日より11月13日までの紅葉変化一覧(制作:小さな美術館軽井沢草花館)
※上の画像をクリックすると、詳細ページにリンクします。
参考ページ
小さな美術館軽井沢草花館HPより雲場池の四季
過去の紅葉と比べてみて、特徴をあげるとすれば
1.紅葉の見ごろシーズンは例年よりも早め(10月下旬に短期集中)
2.落葉も早く、見ごろ時期が短かった。
3.カエデ類の紅葉は色が鮮やかで美しかった
4.ドウダンツツジの紅葉は赤みが濃く、期間は長かった。
今年の気候は、5月から8月に入るまでは気温の高い傾向が続いていましたが、8月の半ば過ぎからは、一転して低温が続き、冷夏の印象が強く残った年となりました。気温の低い夏は9月に入ってからも続き、9月の平均気温14.9度は平年値を1.4度も下回りました(表1より)。
表1.2014年 旬ごとの軽井沢の気候(平均気温、雨量、日照時間、相対湿度)
2014年 軽井沢の旬ごとの気象観測データ (気象庁 軽井沢追分観測所の測定値を利用しました)
※平均値、道警値は10月末までの集計
グラフ1.軽井沢 2014年9月1日から11月10日までの気温変化
※平均値は1981年から2010年まで30年間の値。2014年の値は11月10日までの記録です。
共に気象庁の軽井沢(追分)観測所データを使ってグラフを作っています。
共に気象庁の軽井沢(追分)観測所データを使ってグラフを作っています。
平年よりも平均で1.4度低かった2014年9月の気候ですが、特徴的なのは、朝の冷え込みが厳しいものの、日中の気温は平年並みにまで上がり、一日の間の気温差が大きかったということです。
グラフ1からも2014年9月は冷え込みが厳しかったことが見て取れます。
一日の気温差が大きくなってくると紅葉の色づきが進むといわれますが、今年の9月の気象データ(気象庁データ)を参考に、素人考えではありますが、分析してみました(表2)。
表2.
確認してみたかったことは、9月は温度差の大きな日が多かったのではないか?
ということだったのですが、それを十分に裏付けられる結果となっていました。
雲場池の紅葉においては、9月に段階ではまだ目に見えて紅葉が色づいてくる時期ではないのですが、10月並の冷え込みと大きな気温差が続いたことで、紅葉の始まりが早くに訪れたのではないかと考えます。
今年2014年だけでなく、上の表2で集めたデータを過去の分まで拾い上げてみると、興味深い結果となりました。
表3.軽井沢 1933年,1951,1965年,1992年,2000年〜2014年 9月における一日の間の気温差、その他各種データ
表3からは年によって大きな差が生じていることもよくわかりますし、今年と同様に紅葉が早くに進んだ2009年の9月も気温差が大きかったことがわかります。
9月の気温の傾向だけが、紅葉の進行に関係したわけではないと思いますが、多少の影響はあったのではないかと考えます。
その他、今年の気候について
1.大雪 2月14日から15日にかけて降り続いた大雪は先週の雪と合わせて99センチの積雪深となり、軽井沢の気象観測史上、最も深く積もった雪となりました。道路では立ち往生して移動できなくなった車が続出し、除雪車が出動できなくなるなどして、交通機関がマヒ。大きな被害が出ました。
雲場池のおいても、道路の除雪ができず、しばらく近づけないほどの積雪となりましたが、木が倒れるなど、被害はありませんでした。
2014年2月16日 軽井沢 雲場池
2014年2月16日 軽井沢 雲場池 入口前の道路で立ち往生して動けなくなった車
2.10月に2度の台風上陸
10月6日の台風18号、そして10月13日から14日にかけて台風14号が本州を通過していきまいした。
幸いにして軽井沢では、両台風とも雨風共にそれほど強くはならず、また本格的な紅葉の前だったこともあり、ほとんど被害を受けることがありませんでした。
3.日照時間長く湿度の低かった2014年
一年を通して(といっても1月から10月まで)みると、平均気温はやや高め(平年+0.2度)、雨量は平年並み、そして、日照時間の長い年となりました(平年+201時間)。日照時間が長かったためなのか、相対湿度は平年よりも低くなりました(平年-3%)。ただし、8月上旬から9月上旬にかけては日照時間が短く、気温も低くなったことから、夏は全国的に野菜など農産物の出荷に影響が出ました。10月になってお米の収穫にも影響が出て、長野県のコメの収穫量は平年に比べてやや不作となったそうです。
最後に、本日撮影した雲場池の写真を添付して締めくくりたいと思います。
2014年11月13日 6:10 軽井沢 雲場池
2014年11月13日 6:15 軽井沢 雲場池(遊歩道 東側より南方向)
2014年11月13日 6:20 軽井沢 雲場池(遊歩道 小さな橋〔飛び石〕より南方向)
2014年11月13日 6:25 軽井沢 雲場池(遊歩道 西側奥より北方向)
2014年11月13日 6:30 軽井沢 雲場池(遊歩道 西側より北方向)
2014年11月13日 雲場池 ドライになったヤマアジサイ
2014年11月13日 雲場池 先端の枯れかかったサンカクイ
長い期間ご覧いただきましてありがとうございました。
完
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発信元:小さな美術館軽井沢草花館
「石川功一の描き残した軽井沢の草花たち(5)」展 開催中
石川功一 カンボクの実 水彩スケッチ
秋の木の実を中心に水彩・油彩画47点展示中
11月24日まで 火曜日、冬期休館
※11/18(火)、11月25日以降翌年4月17日までは休館日です
雲場池より1.0km 問合せ 0267-42-0716
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