今年(2023)も移り変わる紅葉の変化を9月9日から(今日を含めて)40回にわたって紹介してきました。
落葉が進み、紅葉シーズンもほぼ終わりに近づきましたので、本日分で「2023年秋」の最終回とします。長い期間、ご覧いただきましてありがとうございました。以下、今年の紅葉を振り返って、締めくくります。
【今年(2023)の雲場池・紅葉を振り返って】
コロナ禍が明け、ようやく制限なく観光ができるようになりました。
雲場池に訪れる人の数はコロナ禍の時でも、屋外ということもあって比較的多かったようですが、今年はコロナ禍前と変わらず、にぎわいました。
個人的な感想となりますが、以下に今年(2023)の紅葉の特徴を挙げてみます。また、最後に本日の雲場池の様子も写真で紹介します。
1.紅葉時期:ほぼ平年並み、昨年と似て、見ごろの時期、やや長く続く
今年は年間を通して気温が高く、特徴的な気候となりましたが、紅葉の変化はとても標準的で、色づきはじめから散り始めまでの変化はほぼ例年通りといったところでした。
昨年の紅葉変化と似ているところもあり、期間はやや長かったように感じます。
見ごろ:10月20日から11月10日(昨年同様)
最盛期:10月25日から11月5日(昨年同様)
※「見ごろ」や「最盛期」と言っているのは、池の周り全体を見て感じた個人的な感想です。
2023年10月25日 9:45 軽井沢 雲場池 正面(南側) 本格的な彩り
2.彩り:鮮やかで色彩豊かな紅葉、黄葉も美しく
昨年同様に、今年も鮮やかで美しい紅葉となりました。雲場池の紅葉はイロハモミジを中心としたカエデ科の赤い紅葉と、池の周りを取り囲むように植栽されているドウダンツツジの赤い紅葉がメインとなっていますが、それ以外の樹木が各所に点在していて、ダンコウバイ(黄)、コナラ(橙)、クリ(橙)、ミズナラ(橙)、ヤナギ類(黄)、フジ(黄)など、様々な異なる色が混ざり合い、全体的な風景はとても色彩豊かなものになります。
今年はそれぞれの樹木がバランスよく色づいてくれたので、色彩豊かな風景が楽しめました。
3.天候:好天続きのシーズン 9月暑く、10月気温低いものの寒暖差大きく、11月上旬は記録的暖かさ
今年の紅葉シーズンの特徴として「天候に恵まれた」ことがひとつ挙げられると思います。冷え込みは厳しかったものの、日中は暖かで、日照時間が長く、しかも雨が少なかったので、紅葉シーズン中はほとんど「お出かけ日和」となりました。
特に紅葉が最盛期をむかえてからの11月上旬の平均気温は10.6度で、気象観測史上最も暖かな10日間(11/1-11/10)となり、11/3〜5までの3連休は今年一番の人出になったのではないかと思うほどたくさんの人が訪れていました。
今年は全国的に「気温の高さ」が話題になる機会が多く、軽井沢でも年間の平均気温が過去最高になる可能性が高そうです。
ところが、紅葉シーズンに限って言えば、色づき始めから最盛期の彩りへと変化していく10月の平均気温は平年値を下まわりました。10月上旬、10月中旬、10月下旬と安定して、平均気温が低いものの、日中の気温は平年よりも高く、朝晩の最低気温は平年よりも低く推移し、しかも、日照時間がとても長くなりました。
このような10月に日中と朝晩の気温差が大きくて日照時間の長い年は、比較的早くに紅葉が進んで、早くに散り始めることが多いのですが、今年の場合は、特別早くに紅葉が進むこともなく、ほぼ平年並みと言える10月20日頃に見ごろとなり、25日から11月5日くらいが最盛期の彩り、そして11月10日くらいを境に見ごろが過ぎていきました。
(3-1)10月上旬:平年より気温低くなるも、寒暖差大きく、日中は暖か、色づき平年並み
9月の平均気温が気象観測史上最も高かったので、色づき始めが遅くなるのではないか? との見方もありましたが、10月上旬は安定して冷え込みが厳しく、日中との寒暖差も大きかったので、紅葉の色づきは平年並みに進みました。
(3-2)10月中旬:平年より気温低くなるも、寒暖差大きく、日中は暖か、色づき順調に進む
気温が安定していて、日照時間も長く、色づきが順調に進みました。
(3-3)10月下旬:ほぼ平年並みの気温も、寒暖差大きく日中暖か、日照時間長く、紅葉は本格的な彩りへ
下表:10月下旬の平均気温は8.4度で、ほぼ平年並み。上旬、中旬に続いて、一日の寒暖差が大きく、紅葉も見ごろから最盛期の彩りへと順調に変化していきました。
そして、この間に雨が4.0_(平年の9%)しか降らず、風もおだやかな日が続いてくれたおかげで、葉っぱの散り始めが早まらず、紅葉の良い状態が長く続いたように感じます。
(3-4)11月上旬:気象観測史上、最も暖かな11月上旬
11月上旬の平均気温は10.6度で、気象観測史上最も暖かな10日間となりました。朝晩の冷え込みが今年の10月中旬や下旬よりも緩く、そのおかげで紅葉が長持ちしたかも知れません。
表4 2010-2023年11月上旬 軽井沢の気温、日照時間、雨量
(3-5)気温の変化
下のグラフは今年の1月からの気温の変化を表したものです。5月と10月以外が平年値を上回り、特に3月と9月に気象観測史上1位の高さとなりました。その他、8月2位、7月3位、4月5位と、記録的な気温の高さが続きました。
年間の平均気温も、おそらく過去1位の高さになる見通しで、2018年に記録した9.3度をどれだけ上回るのか? という状況です。
現在の年間平均気温は8.6度ですが、11月と12月の気温次第では、10度台もあるかもしれません。
グラフ1 2023年7月1日〜9月30日 軽井沢の気温変化 (気象庁HPのデータを利用)
(赤:最高気温、緑:平均気温、青:最低気温、 ※平年値は1991-2020の30年間の平均)
(3-6)2023年1月から11月上旬までの旬毎の平均気温、雨量、日照時間、相対湿度
今年は、気温の高さが記録的ですが、日照時間の長さも記録的です。10月を終えた時点でほぼ平年並みの日照時間に達していて、11月と12月の日照時間次第では、年間の日照時間の最長記録を塗り替える可能性があります。
雨量は平年を下回りそうです。
表5 軽井沢 2023年の旬毎の平均気温、雨量、相対湿度、日照時間
4.シャトルバス試験運行の試み(10/1-11/12)&駐車場
(4-1)シャトルバス
今年は10月1日より11月12日までの期間シャトルバスの試験便運の行われました。
通常でも軽井沢駅前(北口)から六本辻・雲場池バス停を停車するバスが運行していますが、紅葉時期の人出の多さや、雲場池近くの駐車場がなくなってしまった影響を少しでも緩和するため、新たにシャトルバス10便が増便され、期間中運行されました。
正式なコメントではありませんが、期間中シャトルバスの利用者は多数いたようです。来年以降もシャトルバスが運行されるのかどうか? 検討されるのではないでしょうか。
(4-2)駐車場
雲場池からほど近い場所にあった大規模有料駐車場が昨年(2022年)の2月末をもって閉鎖されました。「雲場池に行くのに便利」と言えるような近場の駐車場がなくなり、雲場池に自動車で行く場合、少し離れた場所にある各所の駐車場に停めてから、徒歩で来ていただくことになります。
雲場池に訪れる人の数が圧倒的に多いのが秋の紅葉シーズンです。
軽井沢町や観光協会が、少し離れた場所にある町営や民間の駐車場をホームページなどで案内してくれていますが、遠くから来る方々に広く周知させるのには限界があり、事情を知らずに雲場池の入口付近まで来てから、「どうしようか?」 と駐車場所を探し始める方が多かったように思います。
雲場池入口周辺の道路は道幅が狭く、路上駐車も禁止されています。路上駐車が多いと、あっという間に車の流れが止まってしまいます。事前に駐車場情報をお調べいただき、時間に余裕をもってお越しいただきますよう、お願いします。
2023年11月4日 雲場池 入口前の道路に路上駐車する車が5台 道路が片側通行化してしま う
以下、本日撮影の風景(池の正面から遊歩道を反時計周りに一周(中央の橋で折り返し)歩いた景色の写真を紹介します(午前9時前後に撮影)。
【2023年11月13日 雲場池の景色】
下写真:雲場池の紅葉の一番の見どころとなっている、池の西側に連なるカエデ並木の紅葉です。落葉が進み、全体が淡い彩りになりました。
2023年11月13日 雲場池 遊歩道 西側
MAP:上写真の位置(赤丸)
下写真:10月12日からスズメバチ注意の看板が設置されています。場所は池の正面から遊歩道を左回りに150mくらい進んだあたりです。11月中旬にもなると、活動は静かになっていると思いますが、看板設置の周辺はご注意ください。
【小さな美術館軽井沢草花館 展示のご案内】
「石川功一×栗岩竜雄 軽井沢の花と蝶展」2023年11月19日まで開催中です。
火曜日休館(11月20日以降、2024年4月下旬まで冬期休館)
下の画像をクリックすると詳細ページにリンクします。
小さな美術館軽井沢草花館HP https://kusabana.net
完